二人の絆を深め、日常を彩るアイテムとして注目されるペアウォッチとシェアウォッチ。ペアウォッチはお揃いの時計で特別なつながりを感じさせ、シェアウォッチは性別やサイズを超えたデザインで、ひとつの時計を共有する喜びをもたらしてくれます。今回は、国内外の名門ブランドから独立系ブランド、さらには時計メーカーに属さない独立時計師の作品まで、日本屈指の品揃えを誇る日本橋三越本店 本館6階 ウォッチギャラリーより、本テーマにふさわしいモデルをHODINKEE Japanの編集メンバーが厳選しました。
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ブランパン ヴィルレ コンプリートカレンダー & ヴィルレ デイト ムーンフェイズ
BY YUKI MATSUMOTO
ブランパンのヴィルレコレクションは、ブランドのクラシックウォッチの真髄を体現したシリーズだ。そのなかでも、ヴィルレ コンプリートカレンダーとヴィルレ デイト ムーンフェイズは、気品と実用性を兼ね備えたモデルであり、ペアウォッチとしても最適な組み合わせである。
ヴィルレ コンプリートカレンダーには、曜日、日付、月を表示するトリプルカレンダーとムーンフェイズが搭載されている。ムーンフェイズに描かれた月の顔はりりしくて男性的なデザインが特徴であり、時計全体に気品を与えている。一方、ヴィルレ デイト ムーンフェイズでは、月の顔に星型のホクロがあしらわれ、エレガンスな表情に親しみやすさを添えている。このように、ムーンフェイズという同じ要素に異なる性格を与えることで、それぞれが独自の魅力を放っている。
両モデルともに、美しいグリーンサンバーストダイヤルを採用している点もポイント。光の加減で色彩が微妙に変化し、深みのあるトーンが時計に立体感を与えている。さらにリーフ針やアプライドインデックスといったクラシックなディテールも共通で、ペアリングが自然と成立している。
またヴィルレ コンプリートカレンダーには、大人気のスーパーコピー時計Nランク 代金引換を激安自社製Cal.6654が搭載されており、2万8800振動/時で駆動し、約72時間のパワーリザーブを備えている。このムーブメントは、耐磁性と耐久性に優れたシリコン製ヒゲゼンマイを採用している。一方レディスモデルにはCal.913QL.Pを搭載。2万1600振動/時で駆動し、約40時間のパワーリザーブを持つ。こちらも同様にシリコン製ヒゲゼンマイを採用し、信頼性と精度を高めている。
ペアウォッチだけでなく、単体の時計としても完成度が高いヴィルレ。外観ではムーンフェイズとグリーンダイヤルが調和をもたらし、内面では精緻なムーブメントがその性能を支えている。またムーンフェイズという共通の要素は、ペアウォッチとしての絆を象徴しているようにも感じる。ふたりで月の満ち欠けを共有する感覚は、時計好きのカップルにとって特別な意味を持つのではないだろうか。結婚記念日や特別な日の節目に、ふたりの人生を記念するアイテムとしてふさわしいヴィルレを、ぜひ店頭で手に取り、その美しさを確かめてほしい。
ブランパン ヴィルレ コンプリートカレンダー(429万円)ヴィルレ デイト ムーンフェイズ(383万9000円)
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クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ リアルムーンヤウレ & レディ・オリオン
BY YU SEKIGUCHI
天文時計に特化したオランダ発の小規模メーカーであるクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウは、実は創業1974年、50年以上の歴史を誇る老舗である。1989年には独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーとなり、以降、1996年から腕時計の製造を開始する。それ以前の豪奢な作りの掛け時計や渾天儀と4つの天文時計を備えたクロックなど、老舗らしい荘厳さは和らげつつも、気品を感じさせる天文時計がやはり同社を最も特徴づけている。リアルムーン・ヤウレは1万1000年に1日という途方もなく高精度のムーンフェイズを備えた、いわば入門機。ただし、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウを腕時計としてリアルに使う、という意味では最もウェアラブルな1本だ。
ベゼルの薄い40mm径ケースいっぱいに配されたアベンチュリンダイヤルは天文時計の雄を十分に体感させ、それでいて、その上に配されたインデックスとブレゲ針はよくポリッシュされていて視認性を損なっていない。特別なことをしていないのに、ベーシックな仕上げ技術でディテールを機能させるのは実力の証と言えるだろう。全体のパッケージは、ラウンドケースに長いラグという、1900年代初頭を思わせるクラシカルなもの。クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウはそれにアレンジを加え、現代的に大きめのラグ幅としてよりマッシブに、ラグ自体もより太く長くシェイプしたことで文字盤が放つパワーに負けないケースデザインとしている。同社の時計に一貫して用いられる大きなオニオンリューズは、ドレッシーに寄りすぎない意匠でチャーミングでもある。絶妙なデザインバランスを突き詰めたことで、単に天文のロマンを味わわせてくれるだけでなく、モダンなドレスウォッチとしても他にない仕上がりとなっている。
そんな独特のリアルムーン・ヤウレに対応するような1本が、レディスウォッチにもある。レディ・オリオンは、同じく文字盤いっぱいに広がるアベンチュリンが特徴だが、まず目を奪われるのはベゼルのエッジが見えないほどに敷き詰められたダイヤモンドだ。ここまでリッチにダイヤをセッティングするメーカーも珍しく、31mmかつミニマムな1本ながら、同社の哲学を凝縮したようなデザインに仕上がっている。これらの2本を見て思い出すのは、ヴァン・クリーフ&アーペルのミッドナイト・プラネタリウム ポエティック・コンプリケーションとレディ・アーペル プラネタリウムだ。それぞれ2014年と2018年に発表され、後者はGPHGでの受賞も果たしたが、実はクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウによる技術提供がこの2モデルの背景にある。
フランスのメゾンとはまた別の形で天文時計のロマンを表現する、クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ。時計業界でも屈指の精緻な技術を用いて、時を超えるような天文時計を作り続ける彼らの作品は、一般的なペアリングに飽きたあなたにピッタリかもしれない。この2本はそのエッセンスを存分に放つはずだ。
クリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ リアルムーン・ヤウレ(858万円)、レディ・オリオン(423万5000円)
詳細はクリスティアン・ヴァン・デル・クラーウ公式サイトへ。
オメガ コンステレーション
BY MASAHARU WADA
オメガのコンステレーションは、1952年に誕生したオメガの最も歴史あるコレクションのひとつです。その名前は星座を意味し、ケースバックには天文台と8つの星が刻まれています。この星々は、オメガが1933年から1952年にかけて達成したクロノメーター記録と一等賞を象徴し、当時の最先端技術の証でもありました。
時代とともにデザインを進化させてきたコンステレーションですが、現在の象徴的なスタイルであるケースとベゼルの側面に4本の爪を持つデザインが登場したのは1982年のこと。この特徴的なデザインは、一目でそれとわかる存在感を放ち、世代を超えて愛され続けています。僕が「おすすめのペアウォッチ」として真っ先に思い浮かべたのがこのコンステレーションなのは、日常使いしやすいスペックであることはもちろんですが、圧倒的な選択肢の豊富さに理由があります。
まずケースサイズは、41mm、39mm、36mm、34mm、29mm、28mm、25mmと、7種類も用意されており、どんな手首にもぴったりの一本が見つかります。また、ケース素材も多彩で、フルステンレススティールのシンプルなモデルから、セドナゴールドやムーンシャインゴールドを取り入れたツートンケース、さらにはフルゴールドモデルまで揃っています。さらに、ブレスレット仕様のほか、ラバーストラップやレザーストラップの選択肢もあり、カジュアルからフォーマルまで幅広いシーンに対応可能です。
ダイヤルのバリエーションも実に豊富です。サイズによって選べるものに多少の違いはありますが、ブラック、ブルー、グリーン、ゴールドといったクラシックなカラーに加えて、メテオライトやアベンチュリン、MOP(マザーオブパール)といった個性あふれる素材のモデルも展開されています。これだけの選択肢が揃っているからこそ、二人それぞれの好みに合ったモデルを選びつつ、統一感のあるペアウォッチを楽しむことができます。
今回僕が選んだのは、どちらもグリーンダイヤルが印象的なモデルです。メンズモデルは、直径41mmのステンレススティールと18Kイエローゴールド製のツートンケースを採用し、ブラックセラミック製ベゼルリングにはオメガ独自のセラゴールド™でローマ数字が刻まれています。一方、レディスモデルは直径28mmのステンレススティールと18Kムーンシャイン™ ゴールドのツートンケースに、豪華なパヴェセッティングのベゼルが施されています。
僕が選んだように、同じケースで揃え、ダイヤルカラーを統一するのも素敵ですが、コンステレーションの多彩なバリエーションを活かして、サイズや素材、ストラップの仕様など異なる好みに合わせて選ぶのもおすすめです。アイコニックなデザインをベースにしているからこそ、本当に気に入ったモデルでペアウォッチを楽しめるのがコンステレーションの魅力です。
公式サイトのコンステレーションのカタログページに迷い込んでみるのもいいですが、せっかくなら店頭に行ってまずはサイズを試してみるところから始めるのがいいと思います。コンステレーションの魅力を手に取って体感することで、特別な時間を共有する喜びを感じてみてはいかがでしょうか。
オメガ コンステレーション Ref. 131.23.41.21.10.001(155万1000円)、コンステレーション Ref.131.25.28.60.60.001(163万9000円)
詳細はオメガ公式サイトへ。
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パネライ ルミノール ドゥエ ルナ・ロッサ
BY KYOSUKE SATO
筆者がおすすめのペアウォッチとして選んだのは、パネライ ルミノール ドゥエ ルナ・ロッサのPAM01381とPAM01378だ。ともに3日間のパワーリザーブを備えた自動巻きCal.P.900を搭載しているためスペックは同じで、外見上の違いもストラップのカラーが違う以外はほとんどない。大きな違いは前者のPAM01381が42mm、後者のPAM01378が38mmサイズであるということくらいしかない。
これがペアウォッチ? そう思われる方は多いだろう。それは正しい。この2本は明確にペアウォッチと位置付けられているわけではないし、それどころか、どちらが男性向け、女性向けということすら公式にはうたっていない。この2本はあくまでもルミノール ドゥエコレクションにラインナップされているバリエーションなのだ。一般的には男性が大きい42mmを、女性が小ぶりな38mmをつけるのが自然かもしれないが、どちらかが男性向け、もう一方が女性向けというデザインでもないため、38mmを男性がつけても42mmを女性がつけてもまったく問題はない。ペアウォッチにしてシェアウォッチでもある、魅力的なセレクトではないだろうか?
実をいうと、ルミノール ドゥエコレクションには男性向き、女性向きといえるスタイルや素材、カラーリングを持つモデルがラインナップされている。たとえば、ともにゴールド素材という共通ポイントから、男性は42mmのルミノール ドゥエ ゴールドテック™(PAM01336)、女性は38mmのルミノール ドゥエ ルナ ゴールドテック™ マドレペルラ(PAM01181)あたりを選ぶと、よりペアウォッチ感は強まるだろう。加えてともにゴールドケースのため、特別感も増すかもしれない。
今回そうしたモデルをあえて選ばなかったのは、ペアウォッチのような時計には、毎日つけられるというのも大切な要素だと思ったからだ。たとえば、結婚指輪はお互いが毎日ずっとつけ続けるものだ。同じように時間を重ね、傷がつくこともあるだろうが、それがともに歩んだかけがえのない時間の証ともなる。指輪とは違い、時計でゴールドケースとなると傷を気にするという人は少なくないし、毎日つけるということに抵抗を感じるという人もいるかもしれない。その点、選んだふたつのケース素材は共にSSであり、定番のルミノールコレクションと比べるとケース厚も抑えられているためつけ心地も申し分ない(そのぶん、防水はやや落ちるが、ドゥエコレクションでも30〜50m防水は確保されている)。
新品のピカピカの状態だけでなく、スポーティなルナ・ロッサシリーズなら多少の傷がついてたとしても結婚指輪同様、かけがえのない時間を示すものとなるだろう。そんなところも、筆者にとって推したいポイントなのだ。
パネライ ルミノール ドゥエ ルナ・ロッサ PAM01381(117万7000円)、PAM01378(111万1000円)
詳細はパネライ公式サイトへ。
グランドセイコー Heritage Collection 44GS 手巻メカニカル SBGW299
BY YUSUKE MUTAGAMI
何もペアウォッチだけが、パートナーと時計を楽しむ方法じゃない。1本の時計をふたりで使う“シェア”という考え方もまた素敵だ。今日はどちらがつけようか、など話して決めながら感性を共有する。ある意味ペアで2本揃えるよりも、深い絆で繋がっているような感覚を覚えるのではないだろうか。
しかし、“シェアウォッチ”としての条件を満たすのはなかなか難しい。ふたりがそのブランドを気に入っていることに加えて、サイズ、デザイン、その他すべての要素でパートナーの共感を得なくてはいけない。その条件を満たすとなるとなかなか選択肢も狭まってくる。サイズに関して言えば、(身につけられる範囲で)大振りな時計をつけたいという女性だとしても許容できるのは40mmまでではないだろうか。デザインにも石を使っていないなどクセがなく、カラーも男性的、女性的と偏った意見が出ないものがいい。しかしそんな前提を満たす時計が、グランドセイコーにあった。
SBGW299はグランドセイコーのルーツとなる1967年の44GSをベースとする“44GS現代デザイン”に属する、そのなかでも最小となる36.5mmのケース径を持つモデルだ。「親友の結婚式につけて行きたい腕時計」という記事でジェームズ・ステイシーが書いていたように、グランドセイコーは「“控えめで特別、そして派手すぎない”時計をつくるのが非常に上手い」。加えて言えばその時に紹介していたSBGW297は今回紹介する時計の色違いであり、放射状に走った立体的なダイヤルパターンはさりげなく華やかさを添えてくれる。ムーブメントが手巻きで厚さを抑えつつ(厚さ11.6mm)ノスタルジーを訴求している点も、ロマンチックだ。シェアにおいて唯一の難点であるSSブレスも、レザーストラップに替えてしまえばいい(ちなみに、ヌバックやスエードなど起毛した柔らかな印象のものであればよりシェアしやすくなると思う)。
なお個人的な意見としては、シェアウォッチは購入時のハードルという意味でも手に取りやすい。予算はひとり分で、ペアウォッチと比べればより高ランクのモデルを検討する余裕も生まれるのだから。2024年は手巻き式のグランドセイコーが注目を浴びた年となったが、SBGW299もおすすめの1本だ。